「経済停滞の原因と制度」のまとめ

経済停滞の原因と制度 (経済制度の実証分析と設計)

経済停滞の原因と制度 (経済制度の実証分析と設計)

あちこち(というか極一部w)で盛り上がっているこの本ですがとりあえず第7章までをざっと読んだのでまとめてみました。既にドクターkoiti_yanoさんによる簡にして要を得てかつ面白いまとめがありますので激しくアレですがまあご参考まで。

とりあえず結論としては、林先生による最初の総論だけを読んでこの本を読んだ気になるのは大変危険だということです。例えば、日本の大停滞の原因は供給側にあって、しかもそれはTFPの低下によるもので、更にそれは追い貸しによるゾンビ企業の存在のためである、といった結論を本書に載っている論文群から導くのはかなり無理があります(が、総論だけ読むとそう取れなくもなうわ何をすrくぁwせdrftgyふじこlp

以下、各章の論文について、1. 内容、2. 結論、3. コメント・remarksなど、といった形式でまとめていきます。

あ、いわずもがなですが僕はここに載っている論文すべての内容を完全に把握できているわけではありません。おかしなところがあれば是非ご指摘いただきたく、また興味をもたれた方は僕のまとめを鵜呑みにすることなく是非本書を買ってお読みいただくよう、お願いします。特に僕は(ご存知の通り)TFP低下やゾンビ企業の存在が景気停滞の真因という仮説には非常に批判的な立場ですので、そうしたバイアスがあると思ってお読み下さいませ。このまとめだけを読んで本書を読んだ気になるのは(そんな人はいないと思いますが)もっと危険です。

【第1章 日本の「失われた10年」の原因 ― 家計消費の役割 ―】
チャールズ・ユウジ・ホリオカ


1. 内容

a. 1991〜2003年のGDP成長の要因分析(各要因の寄与度とシェア)

b. 1991〜2003年の家計消費停滞の原因分析

c. 経済停滞の原因として需要側と供給側のどちらの要因が重要かを考察


2. 結論

a. 経済停滞の主因は投資(特に民間固定投資)の停滞にあり、政府消費・純輸出はGDP成長を下支えした。家計消費はその中間だった

b. 家計消費停滞の原因は、可処分所得の低迷、地価・株価の暴落による家計資産の減少(逆資産効果)、老後や公的年金など将来に対する不確実性の上昇、将来展望の悪化など

c. 経済停滞の原因としては、供給側よりも、政府の誤った経済政策を含む需要側が恐らくより重要だった


3. コメント・remarks

なんだかちょっとピンボケな論文。経済停滞の主因が投資にあるとしながら家計について分析しているのがよくわからないし、koiti_yanoさんも指摘している通り、最後に唐突に供給側の問題にも触れて玉虫色の結論になってるのもよくわからない。

【第2章 日本における生産性と景気循環 ― 産業データによる分析 ―】
宮川努・櫻川幸恵・滝澤美帆


1. 内容

a. Basuらの定式化に従って各産業の生産の成長率の関数を推計し、その結果を使ってソロー残差TFP)の変動要因に稼働率や収穫逓増性、労働保蔵などが影響しているかどうかを検証

b. 需要側の変動による影響を取り除いた純粋な技術ショックを取り出し、これが付加価値や投資、労働時間などの変数にどのような影響を及ぼすかを産業別データを使って調査

c. 価格硬直モデルと労働再配分モデルのどちらが日本経済を説明するのに適切かを考察


2. 結論

a. ソロー残差TFP)変動の主要因は純粋な技術進歩率である。また、ソロー残差の平均値は、80年代から90年代にかけて低下しているのに対し、純粋な技術進歩率は低下していない

b. 日本における純粋な技術ショックは長期にわたって労働投入を減少させる。つまり標準的なRBCモデルはここ20年の日本経済を説明する理論としてふさわしくない。また、日本の労働市場には何らかの構造的問題があることが示唆された

c. 日本においては価格硬直モデルよりも労働再配分モデルの方がより妥当性が高い。つまり労働市場での資源配分のひずみが日本経済の生産性低迷の主要因である可能性が高い


3. コメント・remarks

Hayashi-Prescott(2002)タコ殴りといっても良い論文。まず80年代から90年代にかけて観察されたTFPの低下は技術進歩以外の要因によるものであることが示唆され、次にHayashi-Prescott(2002)で用いられた標準的なRBCモデルは日本経済を説明するのに不適当であるという。大変興味深い。労働再配分モデルについては今後調べてみたい。

【第3章 失われた10年TFP上昇はなぜ停滞したか ― 製造業企業データによる実証分析 ―】
権赫旭・深尾京司


1. 内容

a. マクロ・産業レベルのTFP上昇に関する先行研究を批判的にサーベイ

b. 製造業に関して企業活動基本調査の個票データを用いて、1994〜2001年の産業別TFP上昇を、参入・退出効果、再配分効果、内部効果等に分解して分析

c. TFP水準上位25%の企業グループと下位25%の企業グループの比較と考察


2. 結論

a. 90年代のTFP上昇の減速は、Hayashi-Prescott(2002)の結果よりも小規模であった。日本の成長減速は、労働の質上昇の減速、資本蓄積の減速等、他の要因にも大きく起因していた。また、90年代のTFP上昇の減速は主に非製造業におけるものである、との「ゾンビ仮説」による示唆とは対照的に、多くの研究は非製造業よりも製造業においてTFP上昇の減速が深刻であったとの結果を得ている

b.
i. 製造業における退出効果は負であった。つまり退出する企業のTFPレベルがその産業の平均企業のTFPレベルよりも高かった。金融システムの機能不全がゾンビ企業を生かすことにより負の退出効果に大きく寄与している可能性がある

ii. 日本の生産性上昇の主要な源泉は内部効果であり、内部効果は景気と正循環性をもって変化している

iii. 日本では欧米と比較して参入・退出効果や再配分効果が小さく、このような低い「新陳代謝機能」が90年代のTFPの停滞を起こした可能性がある。「新陳代謝機能」を高めるためには金融システムの機能回復が重要である

c.
i. 1994〜2001年の間にTFP水準の格差が広がった産業には、医薬品製造業、石油製品・石炭製品製造業、電子計算機・電子応用装置製造業などがあった。格差が拡大した産業には、R&D集約度、海外仕入比率、外資比率が高いという共通の特徴があった

ii. 各産業内のTFPレベル上位25%の企業と下位25%の企業との比較において、上位企業グループには、国際化の進展度合いが高い、R&D集約的、全労働者に占める非生産労働者の比率が高い、企業規模が大きい、負債比率が低い、他の企業に所有されている比率が高い、などの特徴があった。また下位企業グループには、TFPと売上高の成長が見られる、雇用をより急速に減少させている、ROAが低い、などの特徴があった

iii. 1990年において下位30%にランクされている企業の1/2以上が2001年においても同ランクのグループに属しているなど、企業の相対的生産性の持続性の程度は高かった

iv. 低TFP企業による雇用の減少が高TFP企業のそれと比べてあまり大きくなく、高TFP企業が雇用や生産を拡大するというメカニズムが十分に働いていないことが確認された。この時期に高TFP企業の多くは生産拠点を中国など海外に移転させつつあり、また雇用削減を含めた経営再編を進めていたことから、これらの要因が「新陳代謝」機能の低下にどのように寄与したかは今後の研究課題である


3. コメント・remarks

TFP成長率の低下がHayashi-Prescott(2002)の示唆よりも小規模だったことや、日本の生産性上昇の主要な源泉は内部効果でありこれは景気と正循環性をもって変化していることなんかは非常に面白いですねえ。要するに生産性低下の原因は景気停滞だったとも言えるわけですよ(笑)。なんだかなあ。

また、結論b-iiiで言及されている、低い「新陳代謝機能」が90年代のTFPの停滞を起こした可能性がある、という点については、深尾先生の2006年7月の以下のインタビューが参考になると思います。ちょっと長いですが該当部分を引用します。

RIETI編集部:
1990年代以降の製造業を中心に観測されている全要素生産性の停滞の要因をどう見ていらっしゃいますか?

深尾:
1つの仮説として、ゾンビ仮説があります。銀行が不良債権問題が表面化しないように、立ち直る見込みのない企業にお金を追い貸ししたり、金利の減免を認めるために倒産しかけている企業(ゾンビ企業)が倒産せず、生産性の高い新しい企業が参入できずにいるために生産性が停滞しているという議論です。しかし、我々が最近分析した結果ですと、工業統計表のミクロデータの分析を1981年までさかのぼってみても、日本では経済の新陳代謝機能は悪かったんです。たとえばアメリカや韓国に比べると1980年代から日本では新規企業の参入は少ないし、生産性の低い企業が必ずしも退出していない。それから生産性の高い企業がどんどん拡大するということもなくて、昔の方が生産性が高かったのは内部効果といいますが、それぞれの工場の中で努力して生産性が上がっていたために、産業全体の生産性も上がっていたということです。

最近では、生産性が下がったのは結局内部効果が下がったからであって、退出効果や算入効果、再配分効果などは余り変わっていないということがわかりました。
そうすると、ゾンビ企業が問題なのではなく、企業内や工場内の生産性の上昇がなぜ減速したかを調べないといけないということになります。あともう1つ解ったのは、最近までデータを伸ばすと、2000年以降、少し明るさが見えてきて、新陳代謝機能がやや多くなったかなという感じはあります。

第35回──RIETI政策シンポジウム「全要素生産性向上の源泉と日本の潜在成長率−国際比較の視点から」直前企画 日本発展のカギは全要素生産性の成長をいかに加速させるか

そう考えると、結論b-iにおいて唐突に出てくる、負の退出効果を金融システム機能不全とゾンビ仮説のせいにしているのもちょっとどうかなあという気がします。同じくRIETIのサイトより、やはり2006年7月の宮川・深尾報告を引用しますと、

4. TFPの向上の源泉について

製造業におけるTFP上昇率の減少の要因を、ミクロデータを利用して分析したところ、内部効果の減少と生産性の高い企業が退出してしまう負の退出効果により生じていることが確認された。退出効果がマイナスである原因として、生産性の高い企業が海外へと工場を移転させた点を指摘することができるであろう。また、内部効果の下落要因としては、通常生産性を大きく向上させる新設の工場が少なくなったことにより生産性向上効果が低下した可能性が考えられる。

RIETI政策シンポジウム 全要素生産性向上の源泉と日本の潜在成長率−国際比較の視点から−

とのこと。研究は着々と進んでいるようで今後に期待です。

ゾンビ仮説のアヤシサについてはおいおいまとめたいと思っております。あと経済産業省の企業活動基本調査のデータは確かに大変面白いので、これもおいおい掘ってみたいと思っております【いつになるかはsvnseeds】。平成11年以前の詳しい調査結果もネットで入手できればいいのになあ。

【第4章 日本経済の生産性の成長率 ― IT資本の役割 ―】
林文夫


1. 内容
Hayashi-Prescott(2002)を2財モデルに拡張。IT財と非IT財を分けることで、前者の相対価格が急激に低下したことによる影響を排除する


2. 結論
IT財の相対価格の急激な低下を考慮しても、90年代のTFP成長率の低下というHayashi-Prescott(2002)の結果は変わらなかった


3. コメント・remarks
それはいいんですが結局TFPってなんなんでしょ?、という疑問がどうしても残ってしまいます。第2章の宮川論文によれば、TFPから需要側の影響を取り除いた純粋な技術進歩率には変化ないってことですし。これは要するにTFP低下って言ってるのは供給側の問題ではなく需要側の問題だってことですからねえ。次のブラウン・塩路論文の示唆ともあわせ、ナゾが深いです。

【第5章 投資ショックと日本の景気変動
R. アントン・ブラウン、塩路悦郎


1. 内容
先行研究で用いられている1生産部門モデルは、技術ショックの果たす役割を大幅に過小評価している可能性がある。そこでFisher(2006)らの主張に従い生産部門を消費財と投資財に分離し、技術ショックを両部門に対して中立的なものと投資財に固有なものに分け、以下の2つのアプローチを用いて、日本の景気循環における技術ショックの役割の大きさを再評価した

a. Hayashi-Prescott(2002)のRBCモデルに投資財部門を導入したモデルを構築し、日本経済のデータを用いてカリブレーションを行った

b. 競合する主要な現代の動学マクロモデルを投資ショックを含んだ形に拡張し、それぞれのモデルにおいて中立ショックと投資ショックが各マクロ変数にどのような影響を与えるかを検証し、各モデルに共通したインプリケーションを探った。その上で、このインプリケーションを基に符号制約付きのVARモデルを推定した


2. 結論

a.
i. 投資財生産部門には技術進歩の停滞は見られなかった。むしろ、90年代の経済成長低迷期にあっても、消費財生産部門の技術進歩が停滞する一方で、投資財生産部門の技術進歩は続いており、この時期の成長を促進する役割を潜在的には果たしていた

ii. 投資財生産部門を加えて拡張したHayashi-Prescott(2002)のRBCモデルは90年代の日本経済の低迷をうまく説明できなかった。モデルは現実の経済よりも良好なパフォーマンスを示した

iii. このことは、現実の経済にはこのモデルには反映されていないが重要な要因が存在し、これが経済成長と投資を抑制していたことを示唆している。このような景気抑制要因の候補としては、名目価格の硬直性が元となって発生する需要不足や、クレジット・クランチの発生による投資の抑圧などが挙げられる

b.
i. 7種類あるショックのうち、中立ショックと投資ショックの2つだけでGDPの50%以上の変動を説明できた。このことは、技術ショックが日本のマクロ的変動の要因として重要であることを示している。また、内訳でみると、投資ショックが中立ショックとほぼ同等程度に重要な位置を占めていることがわかった

ii. ただし、技術ショック以外のショックもあわせて40%強を説明しており、非技術的な要因は重要ではない、という見方とも整合的ではない


3. コメント・remarks
これもHayashi-Prescott(2002)の結論に否定的な論文。以下本文から2箇所引用してコメントに代えたいと思います。

このように、本節のモデルはHayashi-Prescottモデルを拡張して技術進歩の源泉を2つに分けて考えることで技術進歩の貢献をこれまで考えられてきたよりも重要なものとしてとらえることに成功した。が、そのことの裏返しとして、われわれの分析結果はHayashi-Prescottの結論ではあまり重要なものとはされなかった技術進歩以外の景気抑制要因(何らかのMarket Friction)の果たす役割に再び注目する必要がある可能性を示唆しているのである。

136-137ページ

パネルA【引用者注:中立ショックのGDP変動に対する貢献のチャート】は「失われた10年」の当初において中立ショックがほとんど重要な役割を果たしていなかったことを物語っている。このタイプのショックがマイルドな引き下げ要因として働くのはようやく1998年からに過ぎない。これに比べるとパネルBの投資ショックは1994年にかけてのGDPの予期せぬ落ち込みにある程度寄与している。また、1997年から2002年までの間は再びマイナス要因となっている。しかし、この時期におけるGDPの落ち込みと最も強い相関を持っているのは技術ショック以外の要因であることをパネルC【引用者注:技術ショック以外の貢献のチャート】は示している。これらを総合すると図5.7【引用者注:VAR推定結果に基くGDP予測誤差の歴史分解】は、技術的ショックの一定の役割を認めるものの、非技術的な要因も大きな役割を果たしていたことを示すものとなっている。

146-147ページ

【第6章 失われた10年における日本の金融政策】
R. アントン・ブラウン、脇雄一郎


1. 内容
資本蓄積・価格の調整費用・名目金利のゼロ金利制約を考慮したモデルを構築し、90年代の主要な名目・実質の観測事実を再現するようカリブレートした。このモデルを用いてこの時期の代替的な金融政策の効果を研究し、どのような政策がゼロ金利制約を避けることができたか、またどのような政策がゼロ金利制約の悪影響を改善することができたかを検討した


2. 結論
ゼロ金利制約を避けるためには、テイラー・ルールにおける反応係数よりも、長期的な名目金利ターゲットをどう設定するかがより重要であることがわかった。具体的には、90年代に2.3%の名目金利ターゲットが設定されていたならば、ゼロ金利制約は避けられ、更に経済厚生を改善したであろうことが示された

また、既存研究で提示されたその他の政策について調べた結果、完全予見の仮定の下では、名目金利を長期にわたって低く維持するのが良い政策であることがわかった。物価安定と整合的な水準に長期名目金利目標を設定するのもまた、良い政策であり、この性質は不確実性下でも成り立つと予想している


3. コメント・remarks
正直この論文の内容はとっても難しく、僕がちゃんと理解できているとは思えません(泣)。とりあえず、

i. 90年代にインフレターゲットを設定しておいたらデフレは避けられた
ii. ただしその場合でもGDPの低下は避けられなかった(が、少しは改善していた)
iii. デフレ脱却後も長期間ゼロ金利を維持することが望ましい

という知見が得られた、という理解で良いのでしょうか。是非詳しい方に補足をお願いしたいところであります。

【第7章 日本における金融政策の効果 ― 構造変化の可能性を考慮に入れた再検証 ― 】
井上智夫・沖本竜義


1. 内容
1975年から最近までの期間を対象に日本経済における金融政策の効果を、構造変化の可能性を明示的に考慮した、実質生産量・金利・貨幣量・為替レートの4変数からなるブロック再帰的構造VARモデルを用いて分析し、「失われた10年」といわれる1990年代に金融政策の効果に大きな変化が生じたかどうかを厳密に検証した


2. 結論
i. 1996年以前においては金利操作による政策運営が有効であった

ii. 1996年以降においては金利ショックの有効性は低下した。これは金融政策の有効性が低下したと解釈するよりも、金利水準が低すぎるがゆえに有効な金利政策を行うことができなかった状態であることが示唆された。ただし、この期間であっても、1998年7月から1999年4月の10ヶ月間においては金利による金融政策が有効であった時期も存在した

iii. 1996年以降の金利操作という通常の政策手段は有効でなくなったが、同時期においても貨幣量操作による量的緩和政策の効果はプラスであり、これによって景気を下支えした可能性が示唆された

iv. 以上から、バブル経済崩壊後に日銀が施した金融緩和政策は景気の下支えをした可能性が強く、「失われた10年」における日銀の責任は限定的なものであるということができる


3. コメント・remarks
量的緩和政策が有効であったとする分析は大変興味深いです。

でも結論ivは正直どうかなあ。日銀が行ってきたことが有効であったからといって、その政策運営がToo Little Too Lateだったことを考えると、責任が限定的であるとするのは納得がいかないまくり。

それに、今後の景気の動向によっては有効であったはずの量的緩和を解除してしまった責任もより明確に問われるべきということになるわけで、このとってつけたような日銀用語のstatementはむしろ藪蛇のような気がしますがどうでしょう。

それと、ここで構築されているモデルは実質生産量・金利・貨幣量・為替レートの4変数VARモデルなんですが、為替レートを除外した3変数モデルについての以下のさらっとした記述も大変興味深いです。「円の足枷」(ASIN:4492394745)早く読まなきゃなあ。

ところが、3変数モデルの状態2においては、【略】本来であれば、生産量を減少させるはずの金利引き上げショックが、生産量を増加させるという結果を得ている。【略】このことは【略】為替レートを除外した3変数VARモデルの定式化が誤っていることを示唆していると考えられる。つまり、日銀の金融政策を分析する上で、為替レートも重要であることを意味しているのである。

219ページ

残り2冊、誰か要約してくれないかな・・・【他力本願のsvnseeds】。