タイムリーにも

先日書いた「結局先の大戦は、巷間流布する言説とは裏腹に、国民の熱狂的支持のもと始められたものであるなあ」という最近の僕の感想ですが、これに関連してかんべえさんのところ(8/4付)で大変面白そうな「日中戦争下の日本」(ASIN:4062583925)という本が紹介されていたのでメモしておきます。

すなふきんさんにコメントでご指摘いただいたとおり「巷間流布する言説」というのは大げさだったかなとも思うのですが、しかしかんべえさんのような方でも「『ああっ!』と思った」らしいので、まあそれほど外してもいないのかな、と思った次第。

これは方々で指摘されていることですが(うろ覚えですが例えば中村隆英「昭和史I」(ASIN:4492060588)など)、明治以降日中戦争まで、日本が経験した日清・日露や第一次大戦(これはまあタナボタみたいなものですが)の戦争については、すべて日本側が勝利したおかげで、国民の間に戦争は「儲かる・良いもの」だという認識があったことは忘れてはいかんと思います。日露戦争が終わったときには賠償金の支払がないことで暴動がおこったりしてましたし。戦後米国が占領政策において重視した点の一つが「戦争は儲からない」ことを徹底的に日本国民に知らしめることだった、というのもむべなるかなと。薬が効きすぎているような気もしますけど。

余談ですが、この日露戦争、ほとんど勝つ見込みがないまま、今戦わなければ今後勝つ機会がなくなる、自衛のために戦う、という理由で開戦に至ったのは、後の対米開戦を思わせて背筋が寒くなります(奇襲ではじまったのも同じだし)。中国に色目があった米国の仲介で講和に持ち込めたのは僥倖と言うほかない。この経験が後に軍部の判断をおおいに狂わせたのは間違いないと思っております。

閑話休題。この「日中戦争下の日本」ですが、著者による紹介を見つけたのでこれもメモ。「国民は悪くない、すべて軍国主義者が悪い」という日本の「反省」が、日中国交正常化から来ているという指摘は目からウロコでした。昔から左右共に「改革」が大好きな点も指摘されてます。優先度を上げて近日中に是非読んでみたいと思っております。