やっぱり福井総裁は辞任するべきです。

最近時事ネタを書いてる時間がない(どころかエントリ書くのもままならない)わけですが、せっかくなので思うところを書いてみます。

僕が言いたいのは以下の3点です。学生の主張っぽく書いてみました(笑)。ほとんど韓リフ先生とドラめもんさんの主張の焼き直しみたいなもんですけど、まそこはそれ。

  • 福井総裁は辞任するべきであること
  • 辞任の際にはその理由を明らかにするべきであること
  • 金融政策の策定に関わる者の金融資産の信託と資産公開を義務付けるようルールを整備するべきであること

それでは順番に。

福井総裁は辞任するべきであること

福井総裁は辞任するべきです。何故ならば、在任中にファンドを解約するという、金融政策の策定を行う立場の者としてしてはならないことをしてしまったからです。

金融政策は国内のあらゆるモノとサービスの価格に影響を与えることができます。これには株などの証券やそれにより構成されているファンドの価格も含まれます。

また、金融政策の策定は国民の便益を図ることを目的として行われるべきものです。一個人または特定の団体の利益を目的として行われるものではありません。

従って、金融政策を策定する立場にいる者が、自由に証券やファンドの売買を行った場合、これは明らかに利益相反する行為となります。

この利益相反行為が何故まずいのかというと、市場の信認を失うからです。これは一般的な職業倫理や規範の問題よりもずっと大きな問題といえます。

中央銀行の使命は何よりもまず物価の安定です。そして、物価の安定には、中央銀行が市場の予測を適切にコントロールすることが欠かせない条件となります。

しかし、中央銀行が市場の信認を失ってしまうと、市場は中央銀行の言うことを信じなくなるために、予測をコントロールすることが非常に難しくなってしまいます。

中央銀行は、その目的を達成するために、市場の信認を失ってはならないのです。そのためには、金融政策を策定する立場にいる者は利益相反行為を行うべきではありません。

そして、いったん失った信認は、容易に回復するものではありません。その責務の重さを考えても、信認を失うような行為を行った者は辞任して、後継者に信認の回復を委ねるべきです。

つまり、福井総裁は、一般的な倫理や規範ではなく、中央銀行総裁としての倫理と規範に照らして、辞任するべきなのです。

辞任の際にはその理由を明らかにするべきであること

福井総裁、または日本銀行は、福井総裁の辞任にあたって、その理由を明らかに説明するべきです。何故ならば、誤解を生じないように辞任の理由を説明することは、市場の信認を回復するにあたって欠かせない条件だからです。

上に述べたように、福井総裁が辞任するべきなのは、中央銀行総裁としてあるべき倫理・規範に抵触したからです。一般の人々や政治家に求められるような倫理・規範を逸脱したからではありません。

ですから、辞任の理由として、株などの証券を保有していたこと、あるファンドに資金を拠出していたこと、そのファンドが違法に運営されていた可能性があること、などを挙げることは不適切です。

また同様に、そのファンドに違法性がなかった場合を想定することや、解約を行った理由について問いただす必要もありません。

更に、国民が低い預金金利を甘受している間に高利回り商品で利益を貪りけしからん、といった論理のカケラもない感情論をたてに辞任を要求することは、まったく首肯できるものではありません。

繰り返しになりますが、福井総裁が辞任するべきなのは、中央銀行総裁として行ってはならないことを行い、市場の信認を失ったからです。辞任にあたってそれ以外の理由を挙げることは、信認の回復にあたり、何らの貢献もしないどころか、むしろ害を成すものとなり得ます。

福井総裁、または日本銀行は、福井総裁の辞任にあたって、市場の信認を回復するべく、その理由を誤解のないよう、明らかに説明するべきなのです。

金融政策の策定に関わる者の金融資産の信託と資産公開を義務付けるようルールを整備するべきであること

日本銀行総裁をはじめ金融政策の策定に関わる者に対しては、金融資産の信託と資産の公開を義務付けるよう、早急にルールを整備するべきです。何故ならば、今回の不祥事はそのようなルールの不備が原因で生じたものだからです。

上に述べたように、金融政策の策定に関わる者に対しては、利益相反を避けるために、在任期間中の金融資産の自由な売買は禁止する必要があります。そのためには、彼らの金融資産は在任期間中すべて信託することを義務付ける必要があります。

また、上に述べたように、金融政策は金融資産だけでなく、あらゆるモノとサービスの価格に影響を与えることができます。ですから、政策決定の透明性を担保するために、金融政策の策定に関わる者の資産は公開されている必要があります。

今回のような不祥事を繰り返さないためにも、金融政策の策定に関わる者の金融資産の信託と資産公開を義務付けるよう、早急にルールを整備するべきです。

おわりに

今回の不祥事を奇貨として、中央銀行のあるべき姿や果たすべき責務についての議論が深まるといいなあ。でもきっと無理だろうなあ。政治の話に終始しそうな感じ。君たちは政治が好きすg(略)。南無南無。

【参考文献】
金融政策と中央銀行のあり方について考えさせられる良書を挙げておきます(既にお読みになった方も多いでしょうけど)。これらについての感想はまたいずれ【いつになるやらsvnseeds】。