弱気なメモ

あれこれ読んで、なんか周回遅れっぽい感じがかなり漂っていてとってもいやんな感じ。苺のザモデルスレを読み返したりしながら激しくウツになってます。当時の苺は本当にレベル高かったなあ。

とりあえず読んだものからメモ代わりにクリップ。

Avoiding Liguidity Traps, Benhabib et al., 2002 (まだ読みかけ)

Two broad approaches to avoiding liquidity traps are presented. In the first one, liguidity traps are ruled out by means of fiscal policy while maintaining the assumption that monetary policy follows everywhere an interest rate rule.
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The second approach consists of switching from an interest rate rule to a money growth rate peg should inflation embark on a self-fulfilling decelerating path. This alternative is a popular one, frequently mentioned in the policy debate: when caught in a low-inflation equilibrium, governments should simply start printing money to jump-start the economy. Krugman (1998), for example, argues forcefully for this type of policy as a way to bring Japan out of its current recession. However, this recommendation is typically made without any reference to the accompanying fiscal policy. As shown in Woodford (1998), a money growth rate rule is a successful tool to avoid or escape a liquidity trap only if coupled with the "right" fiscal plicy. ... In general, what is needed to make the switch to a money growth rate rule successful is a fiscal policy that, as nominal interest rates approach zero, makes the government intertemporally insolvent.

感想。
先日書いたものの視点はすべてここに含まれていると言って良いだろうなあ。銅鑼さんが何を言っていたのかようやくわかった感じ。馬車馬さんの疑問とも通じるものがある。そんなに財政を否定してる人って(クルーグマンも含め)いないと思うんだけどな。日銀が動かない限り(そして例の上限を外さない限り)財政がいくらinsolventになっても無駄なわけだし(って、そうでもない?FTPLか)。


25年後の「金融政策と銀行行動」、岩田日銀副総裁、2005年 5月28日 (これは再読。でも前読んだときはさっぱり要点を掴んでなかったみたい・・・orz)

そもそも、日本のデフレについては、2つの見方があります。1つは、経済に大きなマイナスの需要ショックがあり、実物資本の需要と供給を等しくする自然利子率が一時的に大きく低下した結果、デフレになったとするものです。
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もう1つの見方は、マクロ的なショックがあり、名目金利がゼロ以下にはならないという制約に直面したために、ゼロ金利の下でデフレ均衡に陥ったというものです。自然利子率には大きな変化がないとしても、名目金利がゼロであるために、デフレ率が実質金利(=自然利子率)に等しくなる状態(フリードマン均衡)になったとするものです。
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FRBのBernanke理事は、一昨年の金融学会の講演でデフレに陥る前であれば、この方法で対応が可能であるが、実際にデフレに陥った後では、マネーでファイナンスされた減税と「物価水準目標政策」の組み合わせを採用することを勧めています(Bernanke(2003))。この処方箋の本質は、減税をマネーでファイナンスするので将来政府債務が増加しないという意味での「非リカード型財政政策」と「物価水準目標政策」の2つの政策の組み合わせにあります。
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日本のデフレがデフレ均衡の状態に近いとする見方をとる場合にも、Bernanke理事の処方箋は示唆を与えてくれます。仮に政府が10年程度で本源的赤字をゼロにするという緩やかな財政健全化目標に沿った政策を採用する場合には、政府債務の残高が名目値で増加し、実質値の伸びは自然利子率(=デフレ率)を上回るはずです。この結果、家計の異時点間の予算制約を考慮しますと、消費者には使い残しが生ずることになります。消費者はこの使い残し分を支出しようとするので、「異時点間のピグー効果」が発生することになります。

ここで注意すべき点は、物価上昇率が正である正常な均衡の下では、本源的な赤字をゼロにする政策は、消極的な(リカーデイアン型)財政政策ですが、デフレ均衡の下では積極的な(非リカーデイアン型)財政政策になることです。
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以上のことからコア消費者物価の変化率が「安定的にプラスになるまで」量的緩和政策を続けるというコミットメントが明示された量的緩和政策と本源的な赤字をゆっくりと減少させる財政政策の組み合わせによって、デフレ均衡から出ることが可能になるはずです。

いくつか極めて個人的なポイントを挙げておくと;

  • ここで挙げられているデフレについての2つの見方は、いわゆるリフレ派の総需要不足、及びBenhabib(や岩本論文等)に代表されるデフレ均衡の2つ
  • この2つに加え、例の「ゼロ金利との闘い」by 植田和男元審議委員に代表される「銀行チャネルがまず大事だよ派」等も加え、論点整理してみたいなあ(もしかしてもうどこかにある?)
  • ここのBernanke提案がいわゆる「背理法」。確かに、財政が少なくとも何もしない(現状維持)でなければ、「弱い背理法」は成立しないのだなあ。とは言え、常識で考えれば中銀がprinting moneyしてる脇でせっせとプライマリ黒字を作ろうと緊縮・増税する政府なんか想像つかないわけだけれども、今の日本はそれだけアレだってことですか。なんというか、政府・中銀とも馬鹿生真面目(TPOをわきまえない)なのがこの15年の原因ってのが泣けてくる・・・
  • デフレ均衡下ではプライマリーバランス赤字をゼロにすることがNR、だって点が良くわからない・・・Benhabibの上記引用とまるで逆に思える。要調査。というかたぶんBenhabibをちゃんと読まねばなるまい

その他読んだもの、読みかけのもの、読む予定のもの;

と、まとめるだけまとめて今日はもう寝ます。なんか風邪ひいちゃって頭まわりませんし【いつものことではsvnseeds】。皆さまにおかれてもお気をつけあそばすよう。