Freakonomics, Steven D. Levitt and Stephen J. Dubner (ASIN:006073132X)

ようやく読了。山形さんがアマゾンでお勧めしていて、更に先日のコメント欄でゴキブリ28号さんにも激しくお勧めされた本。確かに面白い。お勧めです。

中身の話、特に日本人だったら気になるであろう例の大相撲の分析の話(第1章でいきなり出てきます)については、id:tazumaさんのところ玄文講さんのところをご参照いただきたく。特に玄文講さんのところでは暗殺説の話へのリンクがあります。いやあ怖いなあ。

で、なんというか個人的には以下の点がちょっと気になったので、お勧めではあるんだけれども大絶賛はできないというか。いや面白い良い本なんですけどね。星4つ半って感じかなあ。

  • 確かに記述が冗長になるきらいがある。結論に至るまで3回くらい丁寧に(しつこく)説明を折り返し繰り返ししてる感じが時々感じられる
  • 各エピソードと「経済学」のつながりがちょっとわかりづらいかも。確かに経済学はインセンティブの学問なわけだけど、その基本と実際に紹介されている各エピソードとのつながりがともすれば希薄になるというか、socioeconomic statusが問題になる例も多いので、そっち系(経済学=金儲けのための学問)に勘違いされそうな気が激しくしたんですが気にしすぎですかそうですか。ていうかどっかにも書いてあったけどそのままみたら経済学というよりは統計学ですな
  • もっとグラフと数表を使ってもらいたかった。データおたくなものでw
  • 各章トビラの自画自賛はとにかくいただけないw

なんか字の大きさや読みやすさとあいまって、一歩間違えると通俗雑学本ってニオイがするんですよねー。ていうかこのco-authorが実はあんまり良くない(Levittの言いたいことをわかってない)んじゃないかとちらっと思ったりして。わはは。

ということでなんだかけなしてるみたいだけどほんと面白いんですってば。雑学系が好きな人、かるーく面白い話が読みたい人、経済学の現実への(ちょっと変わった)適用例にどんなものがあるのか知りたい人には激しくお勧めです*1。良い訳で翻訳出ることを期待しつつ。

あー最後にカバーから気に入ったフレーズをふたつばかり引用しておこう。これらに禿同できる方は迷わず買いなのは言わずもがなですよ!

... economics is, at root, the study of incentives - how people get what they want, or need, especially when other people want or need the same thing.

... If morality represents how we would like the world to work, then eonomics represents how it actually does work.

ていうか独立した/体系だった世界の眺め方を提供するという意味で、経済学はその辺の哲学とほぼ同等かそれ以上の強力な道具になるわけだけれども(お金持ちになるかどうかは関係無く、ですよ)、哲学に興味を持つ人たちって経済学に興味を持たない傾向があるのはどうしたことでありましょうか(答え:マルクス経済学にヤラレちゃったから)。あー今の独り言なんで忘れてくださいね。わはは。

*1:もっと普通に経済学的な現実への適用は以前作ったリストで挙げた本たちの方が良いと思います。ちょっと教条主義的だったりしますけどそこは話半分で読みましょう