入梅雑感

「いつかは動学マクロ」の野望を実現するため、まずはミクロ的基礎からということでヴァリアンの「入門ミクロ経済学」(ASIN:4326950927)をここしばらく読んでたんですよ。ミクロ経済学はマンキューの入門(ASIN:4492312749)をさくっと読んだだけなんで、なるべく代数的記述(つまり数式)が多用されている入門書を読もうかなと。

で、敢え無く挫折(笑)。これほんとに入門書ですか。わはは。記述が無味乾燥のパサパサ杉で大量のビールと一緒に摂取しても全く飲み込めませんでした【ビールが原因svnseeds】。いやーもしこの本で経済学始めてたら絶対に「経済学って面白い!」と思いませんでしたね僕は。「経済学は空理空論机上の空論ヤマなしオチなし意味もなし」と主張する連中が多いのもなんとなくわかるような気がしてきましたよ。いやホントに。

でもこのヴァリアンの本、アマゾンでの評価を見ていただくとお分かりのように良書なんですけどね。訳もそれなりに悪くないし。ただ僕にはこういうの向いてないっつーことがよーくわかりました。3年後くらいにまたチャレンジしたい所存。無駄ですかそうですか。

あーそういえば今思い出したけど僕一回経済学挫折してるんですよ。大学時代に一般教養で経済学入門のコースをとったんだけどさっぱり面白くなくて、期末試験では出された問題が全然わからなかったんで【講義に出てればsvnseeds】、問題全部無視して「経済学はモデルに基いてアレコレ言うが、その提言が採用された場合には現実の経済が必然的に変化するため、モデルの前提も変化してしまうのは避けられない。その辺学問としてどうよ」って書いたんです。

そしたら教授がこれ嫁ってなんか英語の論文よこしたんですよ。これ読んでレポート書いたら成績つけてやるって。今から考えたらたぶんルーカスのなんかだったんだろうなあ。当時は英語に対してチャレンジングな人だった上にやる気もアレだったのでせっかくの好意に応えられず結局単位落としてしまったわけですけど。教授すみません。名前もおぼえてません。すみませんすみません。わはは。

閑話休題【すべて閑話のsvnseeds】。とは言いつつも「いつかは動学マクロ」(しつこい)ってことで、実はブランシャール&フィッシャー(ASIN:4811553918)と、「初級から上級へのつなぎ」に良いらしい齊藤誠(リフレ派には評判悪いけどw)の「新しいマクロ経済学」(ASIN:4641067902)はもう買ってあったりするのです。

ちなみに何故ローマー(ASIN:4535551049)でなくB&Fかと言うと、ブランシャール先生のファンってこともあるけど、新宿のジュンク堂で両者見比べて30分くらい悩んだ結果、章立てとか例のとり方とか、B&Fの方がローマー本よりも実際の経済に即しているようにように(個人的には)思えたのが大きいです。ま趣味の問題でしょうけど。

閑話休題。そういうわけで、この莫大なw投資を無駄にさせないためにもミクロはちゃんと勉強しないといかんわけですよええ。ということでさっき岩菊先生の「ゼミナールミクロ経済学入門」(ASIN:4532130301)を衝動買いしてきた次第【ナンピン買いのsvnseeds】。なんつーか遠回りしまくりなんですが人生そんなもんということで。「世相でたどる日本経済」原田泰(ASIN:453219296X)と「働くということ」ロナルド・ドーアASIN:4121017935)も一緒に購入。いつ読めるのかなあ(遠い目)。

そういえば岩菊先生と言えば、近著の「日本経済にいま何が起きているのか」(ASIN:4492394400)は激しくお勧めですよ皆さん。ミクロ・マクロ・金融論・経済史の基礎がいっぺんに学べる偉大な本です。口調も丁寧で柔らかいので、リフレ派はリクツはわかるがモノの言い方がなっとらん、という偏屈且つ論理より感情を優先するアレな人たちにも自信を持ってお勧めできます。わはは。ていうかまじめな話、日本経済についてなんか言うときのネタ本としてホント最適と思います。是非どうぞ。

閑話休題。閑話ばかりですかそうですか。で岩菊先生のミクロ本ですが、石油価格の分析に関するところだけちらっと読んだんですけど、先日ここのコメント欄で書いた分析と大筋では同じなんでちょっとほっとした次第。例のクルーグマン(というか元はCremer et al.)の複数均衡解の話(つまり原油は資産なんで価格が上昇すると他資産との比較で採掘を控えるという話)は、たぶんサウジには当てはまるんだけど、産油国全体、つまり全体のアウトプットとしての振る舞いを考えると妥当しないんじゃないかと改めて思います(ロシアなんか無茶して増産しまくりですよ旦那)。

まあこの相違は問題をマクロで見るかミクロで見るか(つまりトップダウンで発想するかボトムアップか)の違いの良い例なんだろうな。って簡単にまとめちゃダメですかそうですか。またそのうちこの辺の話は書こうと思います。

で今その準備の意味もあって「石油の世紀―支配者たちの興亡」ダニエル・ヤーギン(上:ASIN:414005168X、下:ASIN:4140051698)て本読んでるんですけどね。いやー無茶苦茶面白い!激しくお勧めです。って絶版なんですけど。わはは。日本放送出版協会改めNHK出版には謝罪と賠償を要求したい。つーかやる気なさ杉ですよ。他にも例えば「 野蛮な来訪者―RJRナビスコの陥落」(上:ASIN:4140051612、下:ASIN:4140051620)とか良書豊富なんですけどねえ。

こういうやる気の無い出版社から版権買い取ってオンデマンド出版する事業誰かやりませんかね。流通はアマゾン一本で在庫無しというファブレスモデルで。・・・ってちょっと調べたら印刷・製本機高杉だなあ。リースするにしても回収が危うい。アウトソースしたら誰も買わない(且つ儲けも薄い)値段になっちゃうし。金持ちの道楽かなあ。

閑話休題。閑話ばかりですかそうd(略)。id:finalventさんの本家極東ブログの先日のエントリ「国家の適正サイズ」がとても興味深い。まあ本題そのものは頭の体操な訳だけども、そこに寄せられたコメントが非常に面白いわけですよ。今の時代の「国家の覇権」ってなんなんだろうな、とつい考えてしまいました。個人的には「覇権」ってことで絡んでくるのは、昔領土、ちょっと前は石油、で今は「経済」なんだろうなと。

でも領土に関しては今の時代ロコツに領土そのものに関心がある国なんかないだろうから、つまりは漁業か資源がらみなわけで、要するに経済の話。石油も大枠では資源なんで今となっては市場がworkしている限り経済の話。で「覇権」絡みで語られる「経済」の話は勘違いばかり(米国の赤字が日本に押し付けられてる云々とか貿易黒字は国の儲けだとか通貨の強さが国家の強さだとか)のお話にならないお話がまかり通っているのが問題だけども経済の話には違いない(この辺の勘違いをほぐすのにちょうど良いのが竹森先生の偉大な本「世界経済の謎」(ASIN:4492442499)。国際経済学の入門(の入門)としてこれ以上の本は無いと思います)。

要するに今「国家の覇権」の行使って言ったら全部経済がらみの話にしか僕には思えないのだけどどうなんだろうなと。米国とか中国の覇権をどうこう言ってる人たちが、その「覇権」の具体的な行使の形態として実際に何を考えているのかさっぱりわからんのですよ。軍事力は双方を経済的に弱体化するので経済を目的とした手段としては最悪になるはずなんだけど、なんか見てると軍事的な方向に話題が偏ってるように見えてならん。なんだかなあ。

小泉政権の気持ち悪さは、世論を煽って中国や朝鮮を仮想敵国に仕立て上げたのは良いけど、それによって日本が何を得るのかに全然考えが至って無いところにあると思うわけです。例えば竹島やら何やらが原因で本当に戦争になったら全く馬鹿馬鹿しいにも程があるわけだけれども(勝ったとして日本は何を得るのか?)、実際そんな本来トレードオフになり得ないissueでも戦争が起こるのは歴史を見れば明らかな訳で、ああ気持ち悪いったらありゃしない。なんだかなあ。例えば今本当に日本が戦争したら債権も株も大暴落ですよ。でそうした経済的な影響をちゃんと戦略的に考えてる人がいるとはどうも思えない。なんだかなあ。

と、この辺の話の見通しを付けるべく、ちょっと前にid:gachapinfanさんが挙げていた「国際紛争―理論と歴史」(ASIN:4641173001)とか「軍事力と現代外交―歴史と理論で学ぶ平和の条件」(ASIN:4641049653)とか積んであるんだけど全然読む予定なし。なんだかなあ。わはは。

ああ例によってだらだら書いてるとまとまりがなくなったなあ。これもすべて低気圧のせいということで。ではみなさんごきげんよう。おやすみなさい。