LBOとデフレ

例の騒動は全然興味ないのでどうでも良いのだけれども、僕にとっては明白と思われる点があまり指摘されていないようなのでひとことだけ。もちろん当然誰かが指摘してしかるべき話なので、単に僕がそれを知らないだけという可能性は大いにある。その場合は教えていただければこれ幸い。だって興味ないんだからホントに知らないんですよ。どうもすいません。わはは。

で、デフレ下において、プラスのキャッシュフローを持つ企業が取り得る最も合理的な行動は、負債を返済しまくること、もしくは負債が無ければretained earningsとしてキャッシュをブタ積み(笑)することであるのは、経済学の理論、昨今の統計、また歴史的なデータ(米国の大恐慌及び昭和恐慌時の日本における)からも明らかだ。

そしてそうしたキャッシュを溜め込んでいる企業がLBOの対象になりやすいのは、これも別に今の騒動を見るまでもなく、1970〜80年代の米国の歴史をあたれば明らかだろう。

問題は、昔の米国では、企業価値を増す(つまり株主の望む)投資をせずにただキャッシュを溜め込んでいる企業がLBOの対象になったのに比べ、デフレ下の現在の日本においては、たまたま伸びている業界/セクターを除き、まともな企業であっても有望な投資先を見つけられないという違いにある。つまり、昔の米国ではLBOの対象になるのは株主から見て合理的な行動をとっていない企業であったのに対し、現在の日本では必ずしもそうと言い切れないものがあるわけだ。

だからLBOが日本でブームになりそうなことは、一方で非常に歓迎すべきことであるのだけれども(日本のequity marketはわけわからんので手を出す気になれない)、また一方では、もし日本企業がLBOされまくった暁には(もしくはそれを阻止すべく増配しまくった暁には)、デフレ解消局面において(今までpostponeしていた)設備投資をする余力が彼らに残っているのだろうかと心配にもなってしまう。って銀行からの借り入れ増がデフレ解消と同時におきればOkですかそうですか。銀行さん良かったね。

もうひとつ。もし本当に日本がそろそろデフレから脱却できる見込みがあるのであれば、LBOする側から見たらこんなにおいしい投資は無いのだ。負債は買収した企業のキャッシュでほとんど返せるし、万一デフレが続くようだったら企業ごと叩き売れば良い。そもそも円での借入はほとんどタダみたいなもんだ。

一方で本当にデフレが解消するのであれば、別に何にもしなくても時価総額が今よりも上がるのは明らかだ。固定相場防衛(もちろん高めに)に立ち向かうのに匹敵するすごいオプションですよこれは。あーおいしい。このスキーム考えたヤツは偉いなあ。

って別に陰謀論をぶちたくはないのであとはご想像にお任せいたします。わはは。ていうか早くリフレしろと小1時(略)。