「概説 西洋政治思想史」(ASIN:4623024008)

やっと読了。ときどきもっと軽い本に逃避しながら、かれこれ3週間くらい読んでたかも。ああ疲れた。

プラトンアリストテレスの項は記述が文学的過ぎて読む気しないとか、ヘーゲルマルクスの項は書いてる人が信者過ぎて読む気しないとか、コーポラティズムの項は書いてる本人もなに言ってんのかわかってないんじゃないと思われ読む気しないとか、まあいろいろあるけれども読んでて面白い本ではあります。自由って何よみたいな自分の立ち位置探してる思想系初心者にはお薦めの気がするけどどうでしょう【誰に聞いとるsvnseeds】。

個人的に興味深いと思った思想家を順に挙げると、ベンサム、ミル、トクヴィルアダム・スミスハイエクあたりかなあ。反対にくだらないと思ったのは、ルソー、ヘーゲルマルクスアレントハーバーマス、ラスウェル、ロールズあたり【敵を作ったsvnseeds】。って好みがもろに保守/リバタリアン系で笑えますなあ。わはは。そうそう、バークは期待していたのだけれどもいまいちぴんとこなかったな。

もちろん、入門書一冊読んだだけで***はくだらないとは何事じゃとのご意見は全く仰る通りで御座いまして、今後も皆様の暖かい御指導御鞭撻をお願いすると同時に、変わらぬ御健康と更なる御発展を御祈りする次第で御座います。

閑話休題。とりあえず読みながら思ったことを2つだけ書いておこう。ひとつは、巷間良く見かける「思想」とやらにはまるで政治臭がしないけれども、オリジナルの方はそんなこと全然ないのであるなあと改めて激しく思ったこと。いろいろな人がいろいろな人を引用していろいろなことを語っているのを見て、僕にはそれらが激しく上っ面のどうでも良いバカみたいな議論に思えることが多かったのだけれども、実は引用元の思想家達はとっても政治と世界を考えていたのだなあとわかって大変面白うございました。

例えば「自由」を考えるにしても、抽象的なラベル遊びなんかではなく、ちゃんとimplementを前提として制度を設計しようとしてたようにみえる。つまり要件を定義して実装に必要な条件をあれこれ考えるという、普通の当たり前のことが行われているわけで、なんだ思想ってそういうことかと激しく納得できたのは大きな収穫。もっともそれによって今までバカだと思ってた人達や議論がもっとバカに見えてくるのだろうけどそれはしょうがないよね。わはは。

もうひとつは、「自由」と「平等」をセットで考えるのってやっぱ変だよねと再認識したこと。首までずっぽり変なリベラルに浸かって育ったのでこの2つはデフォルト不可分扱いだったんだけど、考えたら当然両者間にもトレードオフはあります罠。例のPolitical Compassの縦軸を「(主に政府からの)自由」、横軸を「平等」についてどう考えるかとすると、ことさら道徳とか経済とか持ち出さなくてもきれいに4分類できるんじゃないかとも思った。

ということで、自由よりも大事なものがある(例えば国や家族の伝統)とか、平等よりも大事なものがある(例えば自由)、って事態を全然想定せずに両者は不可分と信じ込んでいる人が初心なリベラルってことでひとつ。あ、自由と平等は大事だと思いつつ国の伝統がとか縄文時代とか言ってる人は初心なミギマキ君ってことで。君たちの敵はサヨクじゃなくて「完全な自由と完全な平等」なんでそこはしっかり押さえといてね。わはは。

最後に今後読もうと思ってる本を順不同で挙げておこう。他にもコレ嫁とかあったら是非ご紹介下さいまし。

ではごきげんよう