「中東―大変貌の序曲」脇祐三(ASIN:4532350204)

中東の現在を徹底した経済合理性の観点から解説(また経済合理性かよと突っ込もうとしているそこのあなた。サウジの王族がどれだけ経済合理性に基いて行動していることか!読んで目からウロコが落ちましたよ)。大お勧め。積読だったのをようやく読んだ。もっと早く読むべきだった。
僕にとってはやっぱり石油の話が面白い。第6章が「変わる石油の地政学―中国も主役に」、そして第7章が「戦略なき日本―投資が最大の課題に」ということで、例の「石油は戦略物資か否か」に関しての本書の立場は;

80年代以降、石油は市場商品としての性格を強めた。「産油国も石油を売らないと収入が得られないので、石油はいつでも市場を通じて調達できる」との割り切りも強くなってた。とはいえ、石油は純粋な市場商品ではあり得ない。

何故なら、

前章で見たように、世界の主要国は石油が21世紀も重要な戦略物資であることを認識し、将来の自国の国益にかかわる問題として石油をめぐる地政学的な駆け引きを続けている。

からだ、というもの(共に292ページより)。要はみんながそう考えて行動している(ように見える)から、みんながそう考えて行動することを前提にこちらも行動することが重要だ、という姿勢。
これは前に書いた「まず政治抜きで考えて」後から政治を導入しているものだといえる。素晴らしい。こうでないと議論にならない。
ということでid:kmiuraは例の石油本とあわせて可及的速やかにこの本を読むように。よろしく。わはは。