感想文:はてなブックマークに寄せられたコメントを読んで

先日のエントリ「日本語で上手な文章を書くには:10の「べからず」」には多くの反響があり驚きを隠せないでいる。はてなブックマークを見ると500を超えるブックマーカーたちに注目されたようだが、多くの者が[ネタ]とか[neta]などのタグを付けており、正直なところ私の意図が正確に伝わったのかどうか、不安に思う気持ちもなくはない。私は何もこうしたブックマーカーたちを糾弾しようとするものではないのだが、しかしながら、やはりこれはどうかと思う気持ちも一方ではあるのである。甚だしくは山本七平だのイザヤ・ベンダサンだの清水義範だのエイプリルフールだの[あとで読む]だのを持ち出すものもおり、うまくいえないのだが、これも時代というものであろうかと思い、またこうしたコメントをつける人が育った環境といったものの影響も少しはあるのだろうか。しかしまた一方ではこれがいわゆるウェブ2.0というものなのであろうと妙に得心もしたのであった。

ウェブ2.0といえばロングテールだが、どうやら多くの人はこの概念を間違って理解しているように思えてならない。ロングテールというのは文字通り尻尾が長いと言う意味なのは今となっては誰もが知るところであろうが、ネットで確認する限り、これが一体何の動物の尻尾であるかを理解している者は皆無ではないかと思われる。また、これが以前ある分野ではファットテールと呼ばれていたものと同じものである、ということもあまり知られていないのではないかと思うがどうか。もちろんファットテールとは文字通り尻尾が太いという意味であり、そしてもともとのファットがロングとなって広まっていった背景には、時代が変わったということもあるし、また大衆がそれを望んだという部分もあるだろうとは思うのだが、どうもうまく言葉にならない。実はそれだけではないのだが。

文章というもの、あるいは言葉といっても良いだろう、は人により、また場面により、様々な使い方をされるものだと思う。それをひとつの型に押し込めようとするのはそもそも無理がある、とはよく言われることだ。しかし本当にそうだろうか。友人のメモの公開をきっかけに、思いがけず長い尻尾の先にいる人々から多くのコメントを寄せられ、日本の国語教育のあり方について、また私たち一人ひとりが真剣に言葉と向き合う必要性の重大さについて、改めて考えさせられたことであった。


言の葉を あつめて虚し 秋しぐれ