「第三帝国の神殿にて ナチス軍需相の証言 上・下」アルベルト・シュペーア

第三帝国の神殿にて〈上〉ナチス軍需相の証言 (中公文庫―BIBLIO20世紀)
第三帝国の神殿にて〈下〉―ナチス軍需相の証言 (中公文庫BIBLIO20世紀)
しばらく前におれカネ先生取り上げていて面白そうだと思った本。ようやく入手して読了。面白かった。激しくお勧め。
なんといってもナチスのダメ組織っぷりがすごい。あとヒトラーのマイクロマネジメント狂っぷりとか。どんな組織であってもこれじゃうまくいかない、という事例集として読める。そのあたりに興味のある方は是非。
個人的にはシュペーアにかなり感情移入して読んでいる自分に気付いてぎょっとした。客観的、悪く言えば傍観者的にものごとに関わろうとする姿勢や、結局は巻き込まれてあれこれやる羽目になるところ等、ちょっと似ているかも知れないなと思う。ま僕はあんなに仕事できませんが。わはは。
もうひとつ。ナチスが台頭しつつあった時期の社会の雰囲気が今の日本のソレにそっくりで、わかってはいたことだけれども嫌な気分になった。清算主義的な、一度焼け野原になってからやり直そうなどという論調だ。こういうのを目にするにつけ、日本はこれから本当にひどくなるような気がしてならない。僕の勘違いであることを祈るばかり。