日銀、インフレーションターゲットの導入を決定

日本銀行は1日、緊急金融政策決定会合を開催し、インフレーションターゲットの導入を全員一致で決定、即日発表した。緊急会合の開催、即日の発表ともに異例のこと。インフレ率の目標値は1.5%プラスマイナス1%とし、2006年中に達成する。また短期的にはインフレ率が10%まで上昇してもこれを容認し引締めを行わないとした。

日銀は同時に、長期国債買い切りオペの月額3兆円への増額(現在は月額1.2兆円)、及び保有国債残高上限の撤廃を決定、発表した。長期国債買い切りオペは必要に応じ増額するとした。また合わせて、2000年8月のゼロ金利解除は誤った判断であったとし、発表後の会見で福丼総裁が公式に謝罪した。日銀が過去の政策の誤りを認め謝罪したのは今回が初めて。

日銀によると、デフレが深刻化した93年以降、もしインフレ率が1〜2%の正常な水準範囲内で推移していれば、CPI(消費者物価指数)で計った物価水準の現在とのギャップは13〜19%に達するという。そのため、インフレ率が短期的に目標水準を越えてもこれを容認し、物価水準ギャップを埋めることを優先する姿勢を示した。

この発表を受けて株式市場は急騰、一方債券市場は落ち着いた動きを見せている。またドル円相場は113円台まで急落(円安・ドル高)した。

福丼総裁の談話:
構造改革の成果がはっきりしない今、景気の回復を確かなものとするために(インフレーションターゲットの導入を)踏み切った。ある意味冒険ではあるが成功するものと確信している。断固たる決意でインフレに転換する。ターゲットそのものよりも物価水準の回復の方が重要。そのためにはポテトでも銃でも買うつもりだ。(銃は日本では購入できないのではないかと指摘され)とにかくできることは何でもするという意味だ。(民間保有の)国債を全部買い切っても良い。(それでは手の付けられないインフレになるのでは、と質問され)供給過剰で外貨建て負債のない日本ではハイパーインフレは起こりようがない。寝言は寝てから言え。(2006年中の達成が出来なかった場合は)辞任も覚悟している。(2000年8月のゼロ金利解除は)正直すまなかった。」

インフレーションターゲット導入を早くから提案していた中原イ申之・前日銀審議委員のコメント:
「(4月1日発表というタイミングが)良くない。まさかとは思うが市場の信任を得られない心配がある。(日銀は)クレディビリティの重要性をもっと理解すべきだ。(発表の内容は)85点。もっと早く導入するべきだった。」

短資会社エコノミストの加藤・ダダ・茶氏のコメント:
「(今回の決定は)信じられない。我々の商売あがったりだ。日銀には謝罪と賠償を(略)。」

2000年8月にゼロ金利解除の決定を行った速氷前総裁のコメント:
「(ゼロ金利解除は)むしゃくしゃしてやった。金利なら(名目でも実質でも)なんでもよかった。まさかこんなことになるとは思わなかった。今は反省している。」