日銀はマネタリーベースをコントロールできるか?
先日のここで予告した宿題。なんかばたばたして思いの他時間がかかってしまいました。
まずマネタリーベースと日銀当座預金の限界増分を見てみると下のグラフのようになります。マネタリーベースの増減のほとんどが日銀当座預金の増減で説明がつくことがわかります。
ちなみに量的緩和開始後(2001年3月以降)の両者の相関を取って見ると下のグラフになります。xの係数のt値は89.53、サンプル数は42なので、片側0.05%水準で有意です(t分布表参照)。
次にマネタリーベースとマネーサプライの関係を復習してみましょう。量的緩和後のマネタリーベースとマネーサプライの相関が次のグラフです。前に書いたときのこのグラフはゼロ金利開始後(1999年3月以降)で係数をとったので、数字が違ってきています。量的緩和後はほとんど1対1対応に近くなっている(信用乗数が下がっている)のがわかります。xの係数のt値は25.64なので、片側0.05%水準で有意です。
更に、日銀当座預金とマネーサプライの関係を見てみます。次のグラフのようになります。xの係数のt値は20.31なので、やはり片側0.05%水準で有意です。
ということで簡単ですがまとめると、最初の2つのグラフから、少なくとも今のところ、日銀は当座預金を増やすことでマネタリーベースを増やすことが出来るのは明らかだと思います。
また、あとの2つのグラフから、マネタリーベースとマネーサプライ、及び日銀当座預金とマネーサプライの関係も明らかに正の相関を持つ、つまり少なくとも今のところ、日銀はマネーサプライをコントロールできる、と僕は考えるのです。いかがでしょう。
って確かに数字だけでストーリーがないとお話にならない(同義反復)ので、ちょっとその辺も考えます。個人的にはやはり銀行の資産ポートフォリオに占めるキャッシュポジション比率が重要と考えてはいるのですが、うまくまとまっていません。今金融のお勉強中です。
あー、あと簡単なシミュレーションをして、マネタリーベースの望ましい伸び率や日銀当座預金残高目標の数字も出してみたいですね。いつになるかわかりませんけどぼちぼちやりまっす。
- 参考リンク
羊堂本舗さんの相関係数の検定と直線回帰分析のお勉強。なんか似たようなタイミングで似たようなことをやってらっしゃるのでびっくりです。わはは。
「例題で学ぶ初歩からの計量経済学」白砂堤津耶(ASIN:453555093X)。本屋で計量経済学の本を10冊くらい見て一番わかりやすかったもの。今アマゾンの書評見たら「これでわからなかったら、もう永遠に計量経済学は理解できない」とか書いてある・・・(笑)。