今週の溜池通信(pdfファイル)に反応

かんべえさんの溜池通信。いつも勉強させてもらってます。
今週はデフレの話題。思うところをいくつか。
【追記】読み返してみたら素人のクセに偉そうだなあ。勉強中の厨房の戯言と思ってください。

  • 「グローバル・デフレ論」「デフレ中国原因説」「デフレと共存」を切って捨てているのは素晴らしい。
    • こういうこと言ってる連中はまさにトンデモ。無視に限るがマスコミへの登場は多いのが悩ましいところ。早く誰か撲滅して下さい。
  • (日本経済における問題に対し)「経済論壇はいまだに答えを出せず、100人のエコノミストが百様の答え方をしている」という認識は間違い。
    • ここで挙げられている4つのグループの主な論者のうち、マクロ経済学者は竹森俊平と岩田規久男の両氏のみ。後はみんなマクロ経済学者ではない(それどころか、ほとんどは経済学者ですらない)。
    • この両名が共にリフレを主張しており、また海外のマクロ経済学者も同様である点をもっと真剣に考えた方が良い。
    • この際、「経済論壇」や「エコノミスト」の定義を厳密にしたらどうだろう。経済学の世界ほど、専門家とそうでないものの線引きが曖昧な場所は無い。それが混乱(しているように見える)の原因。そもそも特定の団体や業界に属している者の意見は真剣に取り上げるに値しないと思う。
    • 別に権威主義なわけじゃないんですよ。祈祷師や民間療法師の意見と、ちゃんとした医師免許を持っている人の意見を同列に並べるのがそもそもおかしいでしょう、という話。
  • リフレ派による、「何が原因で平成デフレが起きているか」という説明が明瞭になされていない、という認識も間違い
    • 岩田氏などの著作を読めば、デフレの原因は以下の点であることは明らかでしょう。
      • 90年代前半の過度な金融引き締めによるストックのデフレ
      • その後の間違った金融政策によるデフレ期待の定着
      • 実質金利の高止まりによる貨幣選好の高まり
    • 要は緩和が全然足りん、という話に尽きます。
  • なので、ストックのデフレを正せば良い、とする処方箋も誤り。
    • 「デフレを克服する正道は不良債権処理であり、金融システムの安定化だという議論に帰着する」なんてのは全くの間違い。
    • 不良債権処理なんてのはほっとけばよろしい。むしろ、処理しても処理しても新たに不良債権が生まれている中、デフレを加速させるだけ。百害あって一利なしです。
    • 一部を除けば、企業主体は金余り、家計も金余りなんです。でも実質金利が高いので、使うより取っておくこと(もしくは負債の返済)を選んでいる。貸出チャネルなんぞ関係ない。この金をどう流通させるかが問題。いっそうの緩和によるデフレ期待の払拭以外に解はありえないでしょう。
    • 現状目いっぱい緩和されていてジャブジャブという認識も誤りです。もしそうであれば、もっと円安になっているはず(現在のドル安を見よ。これは実質金利をゼロ近傍まで落とす超緩和の結果)。どうしてこんな中途半端な緩和しかできないのか。前日銀総裁の個人的な(もしくは組織的な?)円高選好が理由としか思えない。資本取引が自由な状態で為替レートが自由でなければ、金融政策は限られる。有名なトリレンマです。
    • 実際、9.11以降の緩和により経済は一時的に持ち直した。それを2002年春にまた引き締めてるんです。その結果、今各種指標がピークをつけ、再び下降傾向にあります。
  • モノポリーの経済学」で「インフレは貨幣的現象」を確認できるのであれば、何故それを素直に日本経済に適用しないのだろうか?
    • 要はお金が足りないんです。だからモノよりお金の方が貴重になっている。だったらモノポリーの例の様にルールを変更して、お金を増やせば良い。単純な話でしょう?個々のプレイヤーの状態なんか考えなくてもいいし、無気力なプレイヤーに退場を即す必要なんかないんです。
  • 過度な緩和はバブルを招く、なんて心配してる連中がいるけど、不況期にバブルの心配するなんてキチガイ沙汰と思うんですがね。今失業してる人たちにどっちが良いか聞いてごらんよ。
    • もし本当にバブルになっても、2度目はもっとうまく踊れるだろうし、もっとうまく転べるでしょう。

ああ、長くなってしまった。この話題になるとアツくなるのは、前に「何が頭にくるのか」で考察した通り、誰かがバカなことをやって僕に悪い影響があるからなんだな。
言うまでもなく、バカなことをやっているのは日銀、政府、似非エコノミスト、それを取り上げるマスコミ、です。