それでも「ニート」っていうのやめませんか。しつこいですかそうですか。
ニートについて語ったら負けかなと思ってるとかいいつつしつこく続けてますが(笑)、たぶんこれで最後です。もうなんというか馬鹿馬鹿しくなってしまいましたよ。
id:da_silvaさん経由で若年無業者に関する調査(中間報告)(以下中間報告)を読んでみました(da_silvaさんTBありがとうございました!)。変だなあと思った点を挙げてみます。時間がないのでさっくりいきます。
とりあえず、定義やらなんやら錯綜しているので(混乱してるのは僕だけですかそうですか)、総務省統計局の労働力調査と中間報告の分類と数字をすり合わせてみたのが下の表です(表1)。数字に間違いがあるかもしれないんで自己責任で(笑)ご参照くださいまし。クリックで拡大表示しますが大きすぎるので印刷でもしてください。
【表1:「労働力統計」と「若年無業者に関する調査(中間報告)」のまとめ】
で、この中間報告読んで変だなあと思ったのは以下。
- 「求職型」無業者(本来定義により労働力調査における完全失業者と同一のはず、詳しくは以下)の方が「非求職型」および「非希望型」無業者(いわゆる「ニート」)よりも15〜34歳人口に占める割合、増加傾向ともに目立つにも関わらず(図1参照)、中間報告においては軽く触れられるにとどまっている。なお、マスコミの報道等で目に付く(と思われる)「非希望型」無業者の人数および15〜34歳人口に占める割合はほとんど変化していない
【図1:無業者類型別 15〜34歳人口に占める割合の推移】
- 「非求職型」に分類されている無業者のうち、就職希望時期について「すぐつくつもり」「すぐではないがつくつもり」と答えた者が70%いる。彼らは調査時点でたまたま(具体的な)求職活動をしていなかっただけである可能性が高いと思われる(つまり本来完全失業者と分類すべき者である可能性が高い)
- 「労働力統計」における完全失業者と中間報告における「求職型」無業者の数字が一致せず、その差は2002年においては15〜34歳人口の1.2%、40万人にもおよぶ(表1参照)。前項と考え合わせると、中間報告の調査方法の有効性について疑問を持たざるを得ない*1
ま、要はですね、「ニート」を問題にしたいがための調査じゃないのコレ、って感じがぷんぷんするんですよ。って僕だけですかそうですか。変だなあ。わはは。
あ、一番すごいのはこの報告書の1ページ目、「2) 対象とする無業者の定義とその内訳」の最後のこの一文。
求職型は総務省統計局『労働力調査』で調査されている完全失業者に類似した概念である。一方、いわゆる「ニート(通学も仕事もしておらず職業訓練も受けていない人々)」とは、非求職型及び非希望型の無業者として、日本では通常理解されていると思われる。
【強調は引用者による】
「日本では通常理解されていると思われる」って、言い出したのあなたたちじゃないんですか、委員長!・・・あ、もしかしてここは笑うところですかそうですか。って全然笑えないんですけど。
ていうかですね。「ニート」なんて言葉を使うのはそもそも間違っているし(発祥の地イギリスとは全く社会的背景が異なる)、意味もないし(若年層無業者といえば良い)、それに上記から明らかなように、若年層無業者よりもっと問題なのは若年層失業者なんですよ。2002年時点で「ニート」の85万人のほとんど倍の168万人いるんです。どうしてこっちを問題にしないのか不思議でならない。
誤った診断により誤った処方箋を押し付けられる若い人たちは個人としてとても不幸だし、彼らがそうした不幸な時を過ごす/過ごしているのは日本の現在にとっても将来にとっても大いなる不幸だと僕は激しく思うわけですよ。南無南無。
ていうかもう本当に「ニート」なんて言葉使うのやめませんか。しつこいですかそうd(略)。