マネタリーベースとマネーサプライとCPI

三題噺第二弾(笑)。night_in_tunisiaさんの徒然なる数学な日々のエントリ、中央銀行の独立性はなぜ必要かですが、先日紹介した後もコメント欄が更にすごいことになっております。激しく勉強になります。
で、通りすがりさんの

現実にマーケットに携わっている人間からするとハイパワードマネーの増大がマネーサプライの増大に直結していないのを目の当たりにしているもので

ってとこが気になったので色々調べてみた。
このグラフは1980年からのマネタリーベース(ハイパワードマネー)とマネーサプライのYear over Yearの伸び率をとったもの。確かにゼロ金利政策が導入された1999年2月あたりより、お互いの関係がなくなっているように見える。
でも、その1999年2月から現在までだけを取り出してみると、そうとも言えないんじゃないの、って感じ。単に係数が変わっただけで、やはりマネーサプライはマネタリーベースの変化に反応しているように見える。
ついでに、横軸にマネタリーベースの変化率、縦軸にマネーサプライの変化率をとってプロットしてみたのがこれ。80年代(プレバブル)、90年代(ポストバブル)、そしてゼロ金利後の3つのフェーズに明確にわかれていて、だんだん軸が寝てきているのがわかる。つまりマネーサプライがマネタリーベースの変化に反応しにくくなってきているのは確か。
でも軸が完全に水平になってるわけではない。だから「ハイパワードマネーの増大がマネーサプライの増大に直結していない」とは言えないだろう、というのがとりあえずの僕の意見。

更についでに、マネタリーベースの変化率とCPIの関係も見てみた(コアCPIで見たかったんだけど、長期時系列がみつからない・・・)。データがある70年代以降全部のグラフはこんな感じ。ゼロ金利(1999年2月)以降だけ取り出したのがこれ
これだけ見ると「ハァ?」って感じなんだけど、金融政策は効いてくるまでにギャップがある、ということでマネタリーベースの変化率を13ヶ月分先にずらしてみる。とこうなる。ちなみに13ヶ月ってのは適当。後に見るように、R^2の値が一番高いものを取った。でもそんなに外してないんじゃないかと思う。詳しい方にコメントもらいたいな。
で、これ見ると、マネタリーベースの変化率とCPIってのは露骨に関連しているのがわかると思う。その辺見るためにプロットしてみたのがこれ(ゼロ金利後)これ(量的緩和導入(2001年3月)後)。特に後者の量的緩和導入後の関係はR^2が0.66で、これはゼロ金利前の関係とほとんど同じ数字。感動した(ちなみに全部をプロットしてみたのがこれ。興味深い)。
ということで量的緩和にはデフレを和らげる点で非常に効果があった、というのが僕の意見。

更に蛇足。13ヶ月ずらしたマネタリーベースとCPIの関係のこのグラフを見ると嫌でもわかるけど(それに予言したいわけじゃないけど)、日本はこれからまたデフレがひどくなる。このままだと来年の今頃がボトムかな。どうして日銀はこうも生かさず殺さずの政策を続けるのだろう。もう怒る気力なくしちゃったよ。今から何やっても1年後だし。やれやれ。

【参考】