続・イランのアザデガン油田

先日書いたこれid:kmiura氏よりコメントを頂く。ちょっと興味を持ったのでぐぐって関連記事を集めてみた(面倒なので日本語の記事だけね)。せっかくなのでメモとして残しておく。
まずすぐにわかったのは、(僕は世間知らずなので知らなかったんだけど)この話は2000年10月からの長い話だということ。

と、ここで例の米国からの横槍が入る。

イラン・ニュースの論調は日本の左の旦那方と同じニオイがして微笑ましい。わはは。

相変わらず毎日は反米色全開でわけわからんです。「自前の石油開発にそうこだわる必要はない」って言っておきながら、でもここまで苦労したんだから米国に補償を求めるべきだ、ってのは全く理解に苦しむ。あんたはツェねずみかと。もしくはただ反米って言いたいだけちゃうんかと。
で、イランから最後通牒を突きつけられたり紆余曲折ありながらもこのたびめでたく基本合意に達したわけであります。

・・・この毎日の論旨、やっぱりわからんなあ。
ところで開発主体の「日本企業連合」ってのの正体がナゾで気になってたんだけど、上記東京新聞記事によると以下の3社がメインとのこと。どうして大手各紙はちゃんと書かないんだろうね(嫌味です)。面白いので主要株主(出資比率10%超)も一緒に挙げておこう。

はい、ここでイヤでも目に付く(笑)石油公団に関してはこんな動きがあったらしいのでメモ。

要は廃止するんだけど似たような形で存続すると。よくある話ですな。
で、やっぱりご兄弟の道路公団と同じく色々話はあるわけで、ちょっと偏るけど次の記事は面白いので挙げておこう。

更に同じく國民新聞から次の記事を挙げておく。僕はこれが本質に一番近い見方だと思うがどうだろうか。

ということでまとめ。僕の今のところのとりあえずの見解は、一言で言うと;

石油公団 必 死 だ な 。

ですかね。
米国の横槍はちょっとおいておく。というのもこれは全く本質ではないからだ。
問題なのは、治安の問題(地雷の撤去が必要)とか原油の質が悪いとかで、この油田はそもそも非常に採算性が悪そうに見えることだ。この日記でもしつこく書いてきたし、毎日新聞も書いているように(その後が悪いけど)、石油はコモディティだからどこで誰が採掘しようと関係ない。新しく油田を開発するのに重要なのは採算性(の見込み)だけだ。
つまり、この油田の開発は石油公団抜きでも行われただろうか?という点が本当のポイントなのだ。もし石油公団抜きでは成り立たないような事業であれば(上記の情報だけで判断するけど、僕はそうだと思う)、日本人は税金で採掘を支援して、その後は高い石油を買わされることになる。
一方、石油公団のおかげで、採掘に関わる企業は損したら税金で補填、儲かったら自分達の懐へ、とおいしいとこ取りだ。「オモテが出たら俺の勝ち、ウラが出たらお前の負け」という典型的なモラルハザードの状況と言える。
僕は日本の企業が海外の油田を確保するのは全く問題ないと思う。というかそれがビジネスなんだったら勝手にどんどんやればよい。ただし、ビジネスなんだから自分のリスクで、だ。これは国が補助金出してやるものではない。いいかげんしつこいが石油は戦略商品じゃないのだ。国が出る余地はない。ましてや出て行くのがひどいトラックレコードを持つらしい石油公団なのだ。何をかいわんや。
ということで、今回のこの件を判断するのに、この基本的な構図以外に何か必要だろうか、と僕は思う。「供給元の多様性」(マーケットへの供給元はもともと多様化されてますが何か?)とか「米国の圧力に屈しない」(一体何のために?反対だけだったら日銀でもできる)とか「政治的・外交的意義」(完全に意味不明。政治って言いたいだけちゃうんかと)だとか、余計なものをぺたぺた貼り付けると見通しが悪くなるだけだと思うのだ。どうだろう。